〜小児看護専門看護師ブログ〜クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護①処置前のかかわり|さがわキッズクリニック|京都市立桂中学校付近の小児科【京都市西京区】

〒615-8225 京都府京都市西京区上桂森下町1-106
TEL.075-382-5380
ヘッダー画像

ブログ

〜小児看護専門看護師ブログ〜クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護①処置前のかかわり|さがわキッズクリニック|京都市立桂中学校付近の小児科【京都市西京区】

〜小児看護専門看護師ブログ〜クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護①処置前のかかわり

こんにちは!小児看護専門看護師の中井です。

前回のブログでは、こどもは自身のことについて説明を受ける権利があることやそれぞれの発達段階における説明のポイントについてお話ししました。

今回からは3回のシリーズで「クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護」について具体的な方法を交えながらお話ししたいと思います。

 

  • 「痛みを伴う処置」泣かないことがゴール??

年々、医療の技術も進歩し、患者さんに侵襲の少ない検査や処置が増えてきてはいるものの、まだまだお子さんたちにとっては、予防接種をはじめ、採血やお鼻の検査など痛みを伴う検査や処置がありますよね。

お子さんが泣くと、どうしても親御さんも医療者もなんだかお子さんがかわいそう…と思ってしまうものですが、痛みを伴う処置の時に関わる際のゴールは泣かないことでもじっとしていられることでもないと思っています。まずは私たちが痛みを伴う処置で関わるときに目指すゴールを整理してみます。

 

<私たちが痛みを伴う処置でお子さんに関わるときに目指したいゴール>

  • ・お子さんが処置の必要性がわかり、納得して処置を受けられる
  • ・処置に対する恐怖にお子さん自身が医療者や家族と一緒に対処できる
  • ・お子さんが自分でこの場や自分の身体をコントロールできるという感覚を持ち続ける
  • ・痛みを伴う処置の体験を肯定的に捉えられる

「嫌だったけど、頑張れた!乗り越えられた!」とお子さん自身が感じてくれれば私たちの関わりはよい関わりであったといえるかなと思います。

 

  • プレパレーションって聞いたことありますか?

皆さんは「プレパレーション」という言葉を耳にされたことはありますか?小児看護に携わっている医療従事者の方なら一度は耳にされたことがあるかもしれませんね。

プレパレーションとは、お子さんが医療を受けるときに、医療者がウソをつかないで『何が起こるか』をお子さんが分かる方法で説明し、お子さんの心理的混乱を予防したり緩和したりする技術のことです。これにより、お子さんが潜在的にもっている対処能力を引き出し、お子さんが頑張れた!と実感できるように関わることでお子さんの健全な心の発育を支援します。プレパレーションは主に処置前の説明による心構え、処置中のストレス緩和、処置終了後のストレス緩和の3点に重点が置かれています。今回のブログではこの処置前の心構えや処置前の関わりについてお話し、次回以降で処置中、処置終了後の関わりについてお話をしていきますね。

 

  • 『何が起こるか』をどのように説明するか

前回のブログでもお話しした通り、お子さんは当然大人のようには理解ができません。そのために、説明は言葉だけではなく、「視覚的に」「具体的に」がとても大切です。また、お子さんの目線に立ち、「お子さんが体験すること」を順序だてて説明することが大切です。ついつい私たちは注射であれば穿刺のその瞬間だけの出来事を説明しそうになりますが、お子さんに説明をするときは診察室の入室から退室までの一連の流れの中でお子さんが体験することについてお子さん自身が理解できることが大切だと考えています。例えば採血を行う際は「今日はちょっとチックン頑張ろうね」だけではお子さんは自分の身に何が起こるかわかりません。それどころか「チックン」に反応して不安だけが増えるかもしれません。『何が起こるか』を説明するとき、幼児期のお子さんは特に、ごっこ遊びの中でぬいぐるみやお人形を使って実際の処置の流れに沿ってお子さんが体験することをおもちゃの注射器などを使いながら説明することはとっても効果的ですし、今はたくさんのプレパレーションのためのツールもあります。

しかし、クリニックでは医療者がゆっくり事前に説明ということはすべてのお子さんにはなかなか難しく、私も限られた時間の中で「あ、ちょっとこのお子さん不安が強そうかな?」と思う方には処置の前に事前にお声掛けして処置の流れを事前に説明することもあります。

それでは、『何が起こるか』の説明は時間が無いとできないのか? 説明するツールが無いとできないのか? と思われるかもしれませんがそうではないと思います。また、前日に何が起こるか知っておきたいお子さんもいれば、直前に知りたいお子さんもいます。そのため、説明は時間をかけて行うことが重要ではなく、お子さんが知りたいタイミングで時には診察室に入ってから実際の処置と同時進行で進めていくこともあります。

例えば私が採血の時にお子さんに説明している内容です。これをすべて事前に行うこともあれば、処置室に入って実際の環境や物品を見てもらいながら本人と相談して進めていくことも多いです。

  • 今日は○○ちゃんの○○を知りたいからチックンをするね
  • おててにチックンするとき、ここのお部屋で頑張るんだけど、○○ちゃんはお母さんお父さんと一緒に頑張る?それとも一人で頑張る?
  • お母さんお父さんのお膝に座る?どんな体勢でチックン頑張る?
  • じゃあ、チックンするときにおててが動かないようにこことここを看護師さんに持たせてね。
  • こーんなチューブ(駆血帯)で(実際に実物を見てもらいながら)○○ちゃんの腕をぎゅっとしてまずは元気な血管さんを探すね。これは痛くないからね。
  • 元気な血管さんが見つかったら次はこれ(アルコール綿)でふきふきするね。これも痛くないよ、ヒヤッとして冷たいよ。
  • チックンの時は「イチ、ニノ、サーン!」って声をかけるね。その時はチクッとするよ。怖いと思うから泣いてもいいし、大きな声出してもいいし、お母さんお父さんにギュッとして目をつぶっててもいいよ。だけどこのおてて(採血の部位)だけは動かさないように頑張ろう!
  • チックンが終わったら看護師さん「終わったよー」って声をかけるからそれまでおてて動かさないように頑張ろうね。
  • 最後針を抜くときは少し痛いけどチックンの痛さよりは痛くないよ。そのあと、血が止まるまでギューッと抑えて終わりだよ。

 

この中では、お子さんが選択できる範囲で選択肢を提示して、お子さんが主体的に処置に臨むことができるように工夫したり、特別なツールは使っていませんが、実際の環境や物品を見て触って、お子さんの処置への恐怖心を和らげること、お子さんに処置の際、協力してほしいことを具体的に伝えることなどを盛り込んでいます。プレパレーションも医療者が事前に準備して説明するというよりは、一緒に目の前のお子さんたちと作り上げていくという感覚でやっています。処置の中ではあくまでも主役はお子さんです。お子さんのこれまでの体験や意見を聞きながら「そっか、じゃあ今回はこの方法でやってみようか」というようにチャレンジできる範囲でお子さんの選択を支えたり、お子さん自身が納得して処置に向かうことができるようにしたりして関わりたいと思っています。

 

親御さんからすると「え~これからやること言っちゃうの!?大丈夫かな…」と思われる方もおられるかもしれません。

だけど私が小児看護を長年経験し信じていることは、「どんなお子さんであっても自分の身に起こることを理解すれば、自分なりに対処する力がある」「お子さんは痛いことをされるのも怖いけど何より何をされるかわからないことが一番怖い」ということです。

クリニックはお子さんと関わる時間が限られています。クリニックに入ってこられた時から処置までの短い時間でいかにお子さん、親御さんと医療者が信頼関係を築き、お子さんが主役となるような処置の場面を作っていくことができるかがとても大切だと思っています。

 

今回は、処置の前のお子さんとの関わりについてお話しました。これを行ったからといってお子さんがすんなり納得して協力的に処置を受けられるか?もちろんそうではなく、冒頭で話したゴールに向けてのまずは土壌づくりです。処置前の説明を聞いたとて、お子さんの心はやりたくない気持ちで揺れています。次回以降はお子さんとの処置がまさに行われようとしている際の関わりについてお話ししたいと思います!

今回もブログを読んでいただきありがとうございました!

TOPへ戻る