〜小児看護専門看護師ブログ〜クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護②処置中のかかわり|さがわキッズクリニック|京都市立桂中学校付近の小児科【京都市西京区】

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〜小児看護専門看護師ブログ〜クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護②処置中のかかわり|さがわキッズクリニック|京都市立桂中学校付近の小児科【京都市西京区】

〜小児看護専門看護師ブログ〜クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護②処置中のかかわり

こんにちは!小児看護専門看護師の中井です。

4月になり、あたたかい陽気に包まれていますね。いつもクリニックに来てくださっているお子様のご入学、ご入園のお知らせを聞くたびに、私も嬉しい気持ちになっています。

 

さて、今回は4回目のブログです。前回は痛みを伴う処置を行う際の看護について処置前のかかわりについてお話しました。今回は、処置の最中はお子さんにどうやってかかわる??についてお話していこうと思います。

 

  • 注射のときに「がんばろうね!」という声掛けでいい??

早速ですが皆さん、お子さんが痛みを伴う処置を受けるときにどんな声をかけていますか?どうやったらお子さんが前向きに処置を受けてくれるかな??と悩みませんか?お子さんがとっても不安そうな顔をされているのを見てなんとか励まそうと「今日はがんばろうね!」とだけ声をかけていませんか??

医療者として一緒に頑張ろうね!という気持ちはとても大切だと思います。だけど実は「がんばろう」とだけ声をかけられるとお子さんは何を頑張っていいのかわからず、なんか頑張らないといけないことがあるんだ!と不安が強くなってしまうかもしれません。

では、どんなかかわりがお子さんにできるかを今日は具体的にお話ししたいと思います。

 

  • 「とっても嫌だけどそれでもやる!」をみんなでサポートしよう!

前回のブログでもお話した通り、処置の前のお子さんへの関わりでお子さんは自分の身に起こることを理解したとしても、すんなり納得して前向きに処置に取り組めるわけではありませんよね。それはお子さんが「やりたくない気持ち」と「やらなければならない」という葛藤をまだうまくバランスを取ることが難しいからだと言われています。だけどお子さんはどこかで「やらなければならないんだ」ということは必ずわかっています。ここがとても大切で、この気持ちを周りが信じてお子さんに関わる私たちは「嫌だよね、わかる。でもやらなきゃいけないこともわかっているんだよね」とお子さんの気持ちに共感しつつ、お子さんが「嫌だけどそれでもやるんだ!」という覚悟に向かうことができる力をサポートしていくことが大切だと言われています。

ではどうやってそんな力を引き出すか。それにはこんなサポートが必要と言われています。

  • ①お子さんのペースを大切にする

痛みを伴う処置の時は、どうしてもお子さんに少しでもこの場を早く終わらせてあげたいという思いが先行して、お子さんのペースではなく医療者のペースでどんどん進めてしまうことがあります。確かに、嫌な時間を少しでも短く!という思いも大切です。だけど、それより大切なのは、お子さんの処置の最中の状況を無視せずに、医療者のペースに巻き込まないことです。お子さんの声に耳を傾けたり、お子さんからの交渉に応じたり、制限のある中でもお子さんに選択してもらうことが大切です。

お子さんはいよいよ注射するタイミングで「ちょっと待って!!!」とよく言うことがあるかもしれません。そんな時、周りはドキッとしますよね。ですが、これはお子さんが自分で覚悟を決めようとしている最中のプロセスで私たちへの交渉です。そんな時は、お子さんの「待って!」を大切にし、「いいよ。じゃあいくつ数えるまで待とうか?」と、あくまでもお子さんの交渉には応じつつ、お子さんが葛藤の中でも踏ん切りをつけられるリミットも一緒に考えておくということはひとつのポイントだと思います。大切なのは、自分の意見を周りが聞いてくれる、自分がこの場をコントロールできるという感覚をお子さん自身が失わないことです。お子さんが可能な範囲で選択できるチャンスがあったり、お子さんが気持ちを整えようとしている時間を可能な限り待つ周りのゆとりが必要だと思います。

残念ながらお子さんの訴えを全く誰も聞かなくなったとき、お子さんの気持ちはあきらめに変わり、ひどく自尊心が傷つく経験として刻まれてしまいます。お子さんが痛みを伴う処置は今回1回ではありません。これまでの経験が次の処置の際の覚悟に大きく影響するともいわれています。今回、そしてこれからの処置のためにもお子さんの声を大切に関わっていけると良いですね。

  • ②お子さんが処置を受ける場の一体感をつくる

処置を受ける際、お子さんは養育者以外知らない人に囲まれて、とても心細く不安な気持ちになっています。尚且つ、自分で覚悟を決めなければいけないという一人で闘っている恐怖に襲われています。クリニックではその時その時でお子さんとの信頼関係を築き、お子さんの「とっても嫌だけどそれでもやるんだ!」をサポートする必要があります。そのため、診察室や処置室に入ってきたお子さんにはまず、「よくここまで来れたね、頑張った!」「よし、じゃあここからは一緒に頑張ろう!」と声をかけ、お子さんが嫌だけどクリニックに来てくれた、診察室や処置室に入ってきてくれたことをねぎらいながら、私はあなたを応援するためにここにいるよというメッセージをお子さんの目線に合わせて語り掛けています。

冒頭で、処置の際に「がんばろうね!」とだけ声をかけていませんか?とお話しした通り、「がんばろう!」だけではなく、お子さんには何を協力してほしいのかを具体的に説明することが大切です。例えば予防接種であれば、「怖いよね、チックンするときに怖かったら泣いてもいいし、大きな声を出してもいいよ。だけど、このおてて(予防接種の部位)だけは動かさないようにがんばろうね!」とお子さんに具体的に協力してほしい内容を伝えることでお子さんは一見大きな声で泣いていても腕はしっかり動かさずに協力してくれることはよくあります。

この間、とっても注射を嫌がっている幼児のお子さんが最初は「いやだ!いやだ!」と激しく抵抗していましたが、お子さんに協力してほしいことを具体的に説明し、「大丈夫!できているよ!ここだけ頑張ればあとは大丈夫だよ!」と声をかけていると、徐々に自分が頑張らないといけない覚悟が生まれ「頑張るしかないかぁ…」と話しながら協力的に注射を受けてくれることがありました。その宣言がかわいくてご両親ともについ笑ってしまいましたが、こうやって周りもあなたの頑張りを応援しているよとその緊張している場をお子さんと共有することで「嫌だけどそれでもやるんだ!」と覚悟に向かっていくことができることがあります。お子さんたちの中には「今日は泣かない!」「今日は頑張る!」と自分を奮い立たせて診察室に入ってきてくれる子もいます。そんな気持ちを大切にしながら「すごいね!でも泣いてもいいんだよ、だって大人だって注射は怖いんだから。泣いたって注射できたらそれで100点なんだよ」と「やりたくない」「やらなきゃ」の中で揺れ動きながらも、一生懸命覚悟を決めるお子さんの心をそっとサポートできると良いなと思いながら関わっています。

 

  • 痛みを軽減するためには何ができる?

そもそもお子さんへの痛みを伴う処置の痛みが無くなれば、お子さんにとっても侵襲なく、処置できますよね。残念ながらお子さんの痛みをゼロにすることはできないですが、お子さんを痛みのストレスから軽減する方法はいくつか開発されています。今回は当クリニックでも取り組んでいる内容についてご紹介します。

  • Buzzy mini®を使ってみる

以前、院長のブログでも紹介した「つめたいはちさん」です。これはあまりまだ日本では普及していませんが、注射部位に冷却と振動を与えることで注射する部位の痛みが感じにくくなる道具です。当院では昨年度よりBuzzy mini®を主に4歳以上のお子さんの予防接種の際に使い始めていますが、痛みが軽減されている様子が伺えます。この効果については、今後のブログでご紹介させていただく予定にしています。そういえば…先日注射が怖くてなかなか診察室に入ってこれないお子さんがいました。私が耳元でそっと「今日ね、○○くんのために、注射の痛みを少しマシにしてくれるものを特別に準備してるよ。それ使ってみる?」とささやくと、小さく「うん」とうなずき、診察室に入ってきてくれることがありました。お子さんたちはがんばりたいけど勇気が出ない葛藤の中で診察室に入る前から闘っています。Buzzy mini®はお子さんのそんな勇気を少し後押ししてくれる道具でもあるんだろうなぁと思っています。

 

  • ②ディストラクションの実施

「ディストラクション」という言葉は聞いたことはありますか??これはお子さんの痛みや不安を和らげるために注意を別の対象に向ける支援のことです。ディストラクションは特に2歳未満のお子さんには有効であり、音が出るおもちゃや光るおもちゃ、動くおもちゃなどで注意をそちらに向け、遊びに集中している中で処置を終える技術です。これは割と視覚と聴覚に刺激の強いおもちゃを使うことが効果的だと思っています。ディストラクションはどの時点で行うのが効果的かはお子さんの不安になるタイミングにもよるかと思いますが、予防接種の場合であれば、養育者に抱っこされ、お子さんが不安そうな表情になったタイミングに注意をそらすように声をかけ、おもちゃで注意を惹くのが効果的です。おもちゃが無い時、私はお子さんへの声掛けで気をそらすこともあります。ですので、親御さんからすると「なんだかこの看護師さん、騒がしいな・・・」と思われるかもしれませんが、必死でディストラクション中ですのでご理解くださいね。

 

今回は、痛みを伴う処置の処置中のかかわりについてお話ししました。これ以外にもきっとお子さんにできることはまだまだたくさんあると思っています。私もクリニックの限られた時間の中で、試行錯誤しながらお子さんと信頼関係を築きつつ、一生懸命自分に必要な処置を受けるために覚悟を決めようとしてくれているお子さんたちのサポートを少しでもできれば嬉しいなと思いながら日々お子さんたちに関わっているところです。

 

このブログを読んでくださっている皆様の中にも4月より新しい生活がスタートした方もいらっしゃるのではないでしょうか。

新しい生活のスタートが皆様にとって健やかで楽しい一歩となりますように。

 

次回は「クリニックで痛みを伴う処置を行う際の看護―処置後のかかわりー」についてお話ししたいと思います。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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